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2017-09-05

$k$ 上の多項式 $\theta_0, \theta_1, \cdots, \theta_{n-1}$ の存在については、ガロアは別の方法で証明していると『ガロアを読む』に書いてあります。整理してみると、ガロアはガロア分解式を使って証明したようです。
$$\xi = c\alpha + c_1\alpha_1 + \cdots + c_{n-1}\alpha_{n-1} = \varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$$ $$G(X) = (X-\xi)(X-\xi_1)\cdots(X-\xi_{n!-1})$$ $G(X)$ を展開した後、体 $k$ で因数分解し、既約因子のうち $\xi$ を根に持つものを $g(X)$ とし、その次数を $m$ とします。$g(X)$ の $m$ 個の根を $\xi, \xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ とします。 $$G(X) = (X-\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})) (X-\varphi(\alpha', \alpha_1', \cdots, \alpha'_{n-1})) \cdots (X-\varphi(\alpha^{(n!-1)}, \alpha_1^{(n!-1)}, \cdots, \alpha^{(n!-1)}_{n-1}))$$ $\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$ の1文字め(最初の引数)が $\alpha$ になってるもの、 $\alpha_1$ になってるもの、$\alpha_2$ になってるもの、という風に分類し、$G_0(X), G_1(X), \cdots, G_{n-1}(X)$ とします。 $$G(X)=G_0(X)G_1(X) \cdots\cdots G_{n-1}(X)$$ です。 $G_0(X)$ の $\alpha$ を 文字 $Y$ で置き換えて、$G_0(X,Y)$ として、$X,Y$ の多項式とします。その係数は $\alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の多項式で、$\alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の対称式になっています。 $\alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の基本対称式は、原方程式の係数を使って、$\alpha$ の $k$ 上の多項式として表すことができます。 $$G_0(X,Y) = \sum A_{ij}(\alpha)X^iY^j$$ この $\alpha$ をさらに $Y$ で置き換えて $F(X,Y)$ とします。 $$F(X,Y) = \sum A_{ij}(Y)X^iY^j$$ $$F(X,\alpha) = G_0(X,\alpha) = G_0(X)$$ $\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$ の最初の引数を固定したものから作ったことが本質的で、$G_1(X), G_2(X), \cdots$ のどれから作っても、結局同じ多項式 $F(X,Y)$ が出来ます。 $$F(X,\alpha_1) = G_1(X),\; F(X,\alpha_2) = G_2(X),\; \cdots, \; F(X,\alpha_{n-1}) = G_{n-1}(X)$$ $$G(X)=F(X,\alpha)F(X,\alpha_1)\cdots F(X,\alpha_{n-1})$$ この中で、$(X-\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}))$ を因子として持つのは、$F(X,\alpha)$ のみです。ゆえに、$F(\xi,\alpha)=0$ で、 $F(\xi,\alpha_1)\ne 0,\cdots, F(\xi,\alpha_{n-1})\ne 0$ です。

こうして、$f(Y)$ と $F(\xi,Y)$ の共通因子は $Y-\alpha$ だけです。 すなわち、$Y-\alpha$ は $f(Y)$ と $F(\xi,Y)$ の最大公約元であるが、$f(Y)$ も $F(\xi,Y)$ も $k(\xi)$ 上の多項式だから $Y-\alpha$ もそうなり、$\alpha$ は $k(\xi)$ の元であることが分かります。すなわち $\alpha$ は $\xi$ の有理式(実は多項式)で表されます。それを $\theta_0$ とします。
$$\alpha = \theta_0(\xi)$$ $f(Y)$ と $F(\xi,Y)$ の最大公約元は、ユークリッド互除法で求めることができます。その時、$\xi$ の最小多項式が必要になりますが、それは $g(X)$ です。
$$\xi_1 = \varphi(\alpha', \alpha_1', \cdots, \alpha'_{n-1})$$ においても、$f(Y)$ と $F(\xi_1,Y)$ の共通因子は $Y-\alpha'$ だけです。 $\xi_1$ の最小多項式も $g(X)$ ですから、まったく同じ形の $\xi_1$ の有理式で表されます。 $$\alpha' = \theta_0(\xi_1)$$ 同様に、$\varphi$ の2番目の引数を固定したものから $\theta_1$ が、3番目の引数を固定したものから $\theta_2$ が、……、と求められます。

$\varphi$ は、$\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の順列を数 $\xi, \xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ に対応させる関数とみなせますが、 $\theta_i$ は逆に $\xi, \xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ から、それ自身を定義した順列の $i+1$ 番目の値を返す関数になっています。


原方程式(ガロア第1論文では「与えられた方程式」)、正確には原多項式というべきかもしれませんが、 $$f(X) = X^n + a_1 X^{n-1} + \cdots\cdots + a_n$$ において、解と係数の関係は、4次の場合で、 \begin{eqnarray} -a_1 &=& \alpha + \alpha_1 + \alpha_2 + \alpha_3 \\ a_2 &=& \alpha\alpha_1 + \alpha\alpha_2 + \alpha\alpha_3 + \alpha_1\alpha_2 + \alpha_1\alpha_3 + \alpha_2\alpha_3\\ -a_3 &=& \alpha\alpha_1\alpha_2 + \alpha\alpha_1\alpha_3 + \alpha\alpha_2\alpha_3 +\alpha_1\alpha_2\alpha_3 \\ a_4 &=& \alpha\alpha_1\alpha_2\alpha_3 \end{eqnarray} となりますが、$\alpha_1,\alpha_2,\alpha_3$ の基本多項式は $\alpha$ の多項式で表すことが出来ます。 \begin{eqnarray} -a_1 - \alpha &=& \alpha_1 + \alpha_2 + \alpha_3 \\ a_2 + a_1\alpha + \alpha^2 &=& \alpha_1\alpha_2 + \alpha_1\alpha_3 + \alpha_2\alpha_3\\ -a_3 - a_2\alpha - a_1\alpha^2 - \alpha^3&=& \alpha_1\alpha_2\alpha_3 \end{eqnarray}
この証明は手法としても面白いし、ガロア理論の予行演習としての意味もありそうです。ガロア第1論文は、ガロア分解式(ガロアは補助方程式とよんでいたそうです)の研究論文ともいえるので、こっちの証明のほうが、論文としてビシッと筋が通った感じすると思います。
ラグランジュとの数学観の相違から、ラングランジュの亜流であることを拒んだ、というのは考えすぎでは? という気がします。
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