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2017-09-13

原方程式 $k$ 上の重根を持たない $n$ 次方程式 $f(X)=0$
原方程式の根 $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$
$$\xi = c\alpha + c_1\alpha_1 + \cdots + c_{n-1}\alpha_{n-1} = \varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$$ ただし、$\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$ は、$\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ は $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$の任意の置換ですべて異なる値になる。$c, c_1,\cdots,c_{n-1}$ は有理数(整数としてもよい)。
$\xi$ の $k$ 上の最小多項式がガロア分解式で $g(X)$ 、次数は $m$、 この多項式の根は $\xi, \xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ の $m$ 個。
$\theta_0, \theta_1, \cdots, \theta_{n-1}$ は $k$ 上の多項式。 $$\xi = \varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) \qquad (\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = (\theta(\xi),\theta_1(\xi),\cdots,\theta_{n-1}(\xi))$$ という関係があります。

$f_1(X),f_2(X)$ を $k$ 上の多項式とします。
$f_1(\xi)=f_2(\xi)$ ならば、 $f_1(\xi_1)=f_2(\xi_1), f_1(\xi_2)=f_2(\xi_2), \cdots, f_1(\xi_{m-1})=f_2(\xi_{m-1})$ のすべてが成立します。

$f_1(X)-f_2(X)$ は $g(X)$ と根 $\xi$ を共有してます。ゆえに、$f_1(X)-f_2(X)$ は $g(X)$ で割り切れ、他の根 $\xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ も共有します。

同じ値の多項式は、すべて同じ値の多項式に変換されます。 また、値が0となる多項式のみが、値が0となる多項式に変換されます。
例えば、$f_1(\xi_1)=0$ なら逆の変換で $f_1(\xi)=0$ になります。

$f_1(X),f_2(X)$ を $k$ 上の有理式としても、 $f_1(\xi)=f_2(\xi)$ ならば、 $f_1(\xi_1)=f_2(\xi_1), f_1(\xi_2)=f_2(\xi_2), \cdots, f_1(\xi_{m-1})=f_2(\xi_{m-1})$ のすべてが成立することが分かります。 それゆえに、値で類別して、値を値に移す写像として well-defined です。 有理関係を変えない変換になっています。(先に多項式について述べるのは、有理式を変換したときに、分母が0になることがないことを示すため)この性質は、$\xi, \xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ が $k$ 上の最小多項式 $g(X)$ を共有しているから、と言ってもいいですね。

$\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の順列 $A,A_1,\cdots,A_{m-1}$ を定義します。 \begin{eqnarray} A &=& (\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = (\theta(\xi),\theta_1(\xi),\cdots,\theta_{n-1}(\xi))\\ A_1 &=& (\alpha', \alpha_1', \cdots, \alpha'_{n-1}) = (\theta(\xi_1),\theta_1(\xi_1),\cdots,\theta_{n-1}(\xi_1))\\ A_2 &=& (\alpha'', \alpha_1'', \cdots, \alpha''_{n-1}) = (\theta(\xi_2),\theta_1(\xi_2),\cdots,\theta_{n-1}(\xi_2))\\ &\vdots&\\ A_{m-1} &=& (\alpha^{(m-1)}, \alpha_1^{(m-1)}, \cdots, \alpha_{n-1}^{(m-1)}) = (\theta(\xi_{m-1}),\theta_1(\xi_{m-1}),\cdots,\theta_{n-1}(\xi_{m-1})) \end{eqnarray} これらから、$A$ から出発する置換の集合が作られます。置換の集合 $S$ とします。 $$S = \left\{\binom{A}{A},\ \binom{A}{A_1},\ \cdots, \ \binom{A}{A_{m-1}} \right\}$$ $F(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$ を $k$ 上の任意の有理式とします。 $$F(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = F(\theta(\xi),\theta_1(\xi),\cdots,\theta_{n-1}(\xi))$$ と書けるので、$F$ は $\xi$ の $k$ 上の有理式とみなせます。$\xi$ の $k$ 上の最小多項式 $g$ があるから、$\xi$ の $k$ 上の多項式に直せます。それを $\psi(\xi)$ とします。次数は、$g$ の次数 $m$ より小さい。
$$F(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = F(\theta(\xi),\theta_1(\xi),\cdots,\theta_{n-1}(\xi)) = \psi(\xi)$$ これに、集合 $S$ の置換を施します。 $$\binom{A}{A} F(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = F(\theta(\xi),\theta_1(\xi),\cdots,\theta_{n-1}(\xi)) = \psi(\xi)$$ $$\binom{A}{A_1} F(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = F(\theta(\xi_1),\theta_1(\xi_1),\cdots,\theta_{n-1}(\xi_1)) = \psi(\xi_1)$$ $$\binom{A}{A_{m-1}} F(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = F(\theta(\xi_{m-1}),\theta_1(\xi_{m-1}),\cdots,\theta_{n-1}(\xi_{m-1})) = \psi(\xi_{m-1})$$ これらのすべてが同じ値になったとします。 $$\psi(\xi) = \psi(\xi_1) = \cdots = \psi(\xi_{m-1})$$ 次数が $m$ より小さい多項式が、$m$ 個の異なる値で、同じ値になるということは、$\psi$ は定数項しかないことになります。したがって、$\psi(\xi)$ の値は体 $k$ に属すします。

逆に$\psi(\xi)$ の値が体 $k$ に属するならば、$\psi$ は定数項しかありません。したがって、 $$\psi(\xi) = \psi(\xi_1) = \cdots = \psi(\xi_{m-1})$$ が成立します。

集合 $S$ の置換は、$k$ 上の $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ のすべての有理式に対して、その値が $k$ に属するならば値を変えません。また、この性質をもつ $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の置換は、集合 $S$ の置換しかありません。もし、あればその置換を、 $$g(\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}))=0$$ に施せば矛盾します。

順列の集合 $\{A, A_1, \cdots, A_{m-1}\}$ から、$A_1$ から出発する置換の集合 $S_1$ を定義します。 $$S_1 = \left\{\binom{A_1}{A},\ \binom{A_1}{A_1},\ \cdots, \ \binom{A_1}{A_{m-1}} \right\}$$ $F(\alpha', \alpha'_1, \cdots, \alpha'_{n-1})$ を $k$ 上の任意の有理式として、集合 $S_1$ の置換を施すと、$S$ のときと同様の性質がわかります。
集合 $S_1$ の置換は、$k$ 上の $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ のすべての有理式に対して、その値が $k$ に属するならば値を変えません。また、この性質をもつ $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の置換は、集合 $S_1$ の置換しかありません。ですから、$S_1$ は $S$ と置換の集合としては同じものです。

順列の集合 $\{A, A_1, \cdots, A_{m-1}\}$ から、どの順列を出発点とする置換の集合をつくっても、置換の集合としては同じものになります。 したがって、置換の集合 $S$ は群になっています。

置換の集合 $S$ がガロア群です。ガロアの群の定義を使えば、対称性から群になっていると言えるわけです。
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2017-09-05

$k$ 上の多項式 $\theta_0, \theta_1, \cdots, \theta_{n-1}$ の存在については、ガロアは別の方法で証明していると『ガロアを読む』に書いてあります。整理してみると、ガロアはガロア分解式を使って証明したようです。
$$\xi = c\alpha + c_1\alpha_1 + \cdots + c_{n-1}\alpha_{n-1} = \varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$$ $$G(X) = (X-\xi)(X-\xi_1)\cdots(X-\xi_{n!-1})$$ $G(X)$ を展開した後、体 $k$ で因数分解し、既約因子のうち $\xi$ を根に持つものを $g(X)$ とし、その次数を $m$ とします。$g(X)$ の $m$ 個の根を $\xi, \xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ とします。 $$G(X) = (X-\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})) (X-\varphi(\alpha', \alpha_1', \cdots, \alpha'_{n-1})) \cdots (X-\varphi(\alpha^{(n!-1)}, \alpha_1^{(n!-1)}, \cdots, \alpha^{(n!-1)}_{n-1}))$$ $\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$ の1文字め(最初の引数)が $\alpha$ になってるもの、 $\alpha_1$ になってるもの、$\alpha_2$ になってるもの、という風に分類し、$G_0(X), G_1(X), \cdots, G_{n-1}(X)$ とします。 $$G(X)=G_0(X)G_1(X) \cdots\cdots G_{n-1}(X)$$ です。 $G_0(X)$ の $\alpha$ を 文字 $Y$ で置き換えて、$G_0(X,Y)$ として、$X,Y$ の多項式とします。その係数は $\alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の多項式で、$\alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の対称式になっています。 $\alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の基本対称式は、原方程式の係数を使って、$\alpha$ の $k$ 上の多項式として表すことができます。 $$G_0(X,Y) = \sum A_{ij}(\alpha)X^iY^j$$ この $\alpha$ をさらに $Y$ で置き換えて $F(X,Y)$ とします。 $$F(X,Y) = \sum A_{ij}(Y)X^iY^j$$ $$F(X,\alpha) = G_0(X,\alpha) = G_0(X)$$ $\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$ の最初の引数を固定したものから作ったことが本質的で、$G_1(X), G_2(X), \cdots$ のどれから作っても、結局同じ多項式 $F(X,Y)$ が出来ます。 $$F(X,\alpha_1) = G_1(X),\; F(X,\alpha_2) = G_2(X),\; \cdots, \; F(X,\alpha_{n-1}) = G_{n-1}(X)$$ $$G(X)=F(X,\alpha)F(X,\alpha_1)\cdots F(X,\alpha_{n-1})$$ この中で、$(X-\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}))$ を因子として持つのは、$F(X,\alpha)$ のみです。ゆえに、$F(\xi,\alpha)=0$ で、 $F(\xi,\alpha_1)\ne 0,\cdots, F(\xi,\alpha_{n-1})\ne 0$ です。

こうして、$f(Y)$ と $F(\xi,Y)$ の共通因子は $Y-\alpha$ だけです。 すなわち、$Y-\alpha$ は $f(Y)$ と $F(\xi,Y)$ の最大公約元であるが、$f(Y)$ も $F(\xi,Y)$ も $k(\xi)$ 上の多項式だから $Y-\alpha$ もそうなり、$\alpha$ は $k(\xi)$ の元であることが分かります。すなわち $\alpha$ は $\xi$ の有理式(実は多項式)で表されます。それを $\theta_0$ とします。
$$\alpha = \theta_0(\xi)$$ $f(Y)$ と $F(\xi,Y)$ の最大公約元は、ユークリッド互除法で求めることができます。その時、$\xi$ の最小多項式が必要になりますが、それは $g(X)$ です。
$$\xi_1 = \varphi(\alpha', \alpha_1', \cdots, \alpha'_{n-1})$$ においても、$f(Y)$ と $F(\xi_1,Y)$ の共通因子は $Y-\alpha'$ だけです。 $\xi_1$ の最小多項式も $g(X)$ ですから、まったく同じ形の $\xi_1$ の有理式で表されます。 $$\alpha' = \theta_0(\xi_1)$$ 同様に、$\varphi$ の2番目の引数を固定したものから $\theta_1$ が、3番目の引数を固定したものから $\theta_2$ が、……、と求められます。

$\varphi$ は、$\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の順列を数 $\xi, \xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ に対応させる関数とみなせますが、 $\theta_i$ は逆に $\xi, \xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ から、それ自身を定義した順列の $i+1$ 番目の値を返す関数になっています。


原方程式(ガロア第1論文では「与えられた方程式」)、正確には原多項式というべきかもしれませんが、 $$f(X) = X^n + a_1 X^{n-1} + \cdots\cdots + a_n$$ において、解と係数の関係は、4次の場合で、 \begin{eqnarray} -a_1 &=& \alpha + \alpha_1 + \alpha_2 + \alpha_3 \\ a_2 &=& \alpha\alpha_1 + \alpha\alpha_2 + \alpha\alpha_3 + \alpha_1\alpha_2 + \alpha_1\alpha_3 + \alpha_2\alpha_3\\ -a_3 &=& \alpha\alpha_1\alpha_2 + \alpha\alpha_1\alpha_3 + \alpha\alpha_2\alpha_3 +\alpha_1\alpha_2\alpha_3 \\ a_4 &=& \alpha\alpha_1\alpha_2\alpha_3 \end{eqnarray} となりますが、$\alpha_1,\alpha_2,\alpha_3$ の基本多項式は $\alpha$ の多項式で表すことが出来ます。 \begin{eqnarray} -a_1 - \alpha &=& \alpha_1 + \alpha_2 + \alpha_3 \\ a_2 + a_1\alpha + \alpha^2 &=& \alpha_1\alpha_2 + \alpha_1\alpha_3 + \alpha_2\alpha_3\\ -a_3 - a_2\alpha - a_1\alpha^2 - \alpha^3&=& \alpha_1\alpha_2\alpha_3 \end{eqnarray}
この証明は手法としても面白いし、ガロア理論の予行演習としての意味もありそうです。ガロア第1論文は、ガロア分解式(ガロアは補助方程式とよんでいたそうです)の研究論文ともいえるので、こっちの証明のほうが、論文としてビシッと筋が通った感じすると思います。
ラグランジュとの数学観の相違から、ラングランジュの亜流であることを拒んだ、というのは考えすぎでは? という気がします。
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