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2017-08-19

『ガロアを読む』112, 113ページ
 順列・置換  置換とはある順列(permutation)から他の順列に移ることとし,順列を配列として,作用としての置換と区別している.しかしこの区別は論文の中できっちりとは守られていない.
  群の定義はない.
しかし,「いくつかの置換からなる群を作ろうと思うとき(原文では『置換を集め(grouper)ようとするとき』),それらの置換はすべて同一の順列より生じたものとしよう」とあり,
われわれが考える群では文字の最初の配置に何ら影響しない問題をつねに扱うので,最初どのような順列から出発しても同じ置換が得られるだろう.
 それゆえ置換 $S,T$ が同じ群にあれば置換 $ST$ も確かにこの群になければならない.
この文から見ると,ガロアにあっては,群とは,現在のように
    $S,T$ ならば $ST \in G$
    ($G$ は対称群 $S_n$ の有限部分群だから,これで十分)
ではなく,有限個の置換によって生成されたものと見ていたのではないか.

ガロアは、群という言葉を、現在の集合とほぼ同じような意味で使っていることがわかります。
それに、有限の置換群なのだから、「有限個の置換によって生成され」るのは当然で、倉田先生の意見はよくわかりません。以下のように解釈するのが妥当ではないでしょうか。

まず順列の空でない集合がつくられます。 $$\{A_1, A_2, \cdots, A_n\}$$ この集合から、$A_1$ から出発する置換の集合が作られます。 $$\left\{\binom{A_1}{A_1},\ \binom{A_1}{A_2},\ \cdots, \ \binom{A_1}{A_n} \right\}$$ $A_2$ から出発する置換の集合も作ることができます。 $$\left\{\binom{A_2}{A_1},\ \binom{A_2}{A_2},\ \cdots, \ \binom{A_2}{A_n} \right\}$$ この2つの置換の集合は、置換の集合として同じものになる、なぜなら、「われわれが考える群では文字の最初の配置に何ら影響しない問題をつねに扱う」からであって、そのように順列の集合がつくられる、と主張しています。 $$\left\{\binom{A_i}{A_1},\ \binom{A_i}{A_2},\ \cdots, \ \binom{A_i}{A_n} \right\}$$ において、$i$ を $1, \cdots, n$ の中から任意に選んでも、置換の集合としては同じになるということです。 言い換えると、任意の $i,j \in \{1,\cdots,n\}$ に対して、 $$\binom{A_1}{A_i} = \binom{A_j}{A_k}$$ となる $k\in \{1,\cdots,n\}$ が存在する、ということです。「最初どのような順列から出発しても同じ置換が得られる」とはこのことだと思います。 $$\binom{A_1}{A_3}\binom{A_1}{A_2}$$ という合成を考えます(右側の置換から先に実行するものとします)。 $$\binom{A_1}{A_3} = \binom{A_2}{A_i}$$ となる $i$ があるので、 $$\binom{A_1}{A_3}\binom{A_1}{A_2} = \binom{A_2}{A_i}\binom{A_1}{A_2} = \binom{A_1}{A_i}$$ となり、置換の合成に閉じていることが容易にわかります。単位元、逆元、結合法則、も容易に確認出来て、群の公理を満たすことが分かります。第1論文でガロアが「順列の群」とよんでいるのは、こうした性質を持つ順列の集合のようです。

さすが群論の祖とされる天才数学者です。置換群というものの本質的な性質を、的確に簡潔にとらえています。こういうふうに置換群を教えてもらえれば、私もずいぶん理解しやすかったとだろうと思います。

実際、この考え方によって、ガロア群が群であることの証明が容易になります。
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