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2018-06-21

『ガロアを読む』の §18. 素数次既約方程式 その3です。

$G$ を、$p$ 次線形置換 $L_p$ の可移的な部分群とします。 $$N = \{\pi(1,0),\;\pi(1,1),\;\pi(1,2),\; \cdots,\; \pi(1,p-1) \}$$ として $$N \subseteq G$$ なわけですが、$N$ が $G$ の正規部分群となることも明らかです。 $\pi(a,b) \in G$ とすると、 $$G \ni \pi(1,-b)\pi(a,b) = \pi(a,0)$$ なので、$\pi(a,0) \in G$ です。 $$\pi(a,b)=\pi(1,b)\pi(a,0)$$ と $G$ の中で分解できます。そこで、$G$ の元 $\pi(a,b)$ で、$b \equiv 0$ であるものの集合を $H$ とします。 $$H=\{\pi(a,0) \;|\; \pi(a,0) \in G\}$$ $H$ は $G$ の部分群です。 $$\pi(a',0)\pi(a,0)=\pi(aa',0)$$ なので、$G$ は $\bmod p$ での既約剰余類の乗法群の部分群に同型です。 $$G=NH$$ となります。

$N$ と $H$ の共通部分 $N \cap H$ は、$a \equiv 1$、$b \equiv 0$ でなくてはならないので、$\pi(1,0)$ だけです。 $$N \cap H = \{e\}$$ $n,n' \in N,\;\;h,h' \in H$ として $$n \cdot h = n' \cdot h'$$ ならば $$n'^{-1} \cdot n = h' \cdot h^{-1}$$ これは、$N$ にも $H$ にも属するので $e$ でなくてはなりません。 $$n'^{-1} \cdot n = h' \cdot h^{-1} = e$$ これから、 $$n=n', \qquad h=h'$$ $G$ の元は $nh \;(n \in N, h \in H)$ と書けますが、この形の積の表現は一意的です。$nh=hn$ が成立するとは限らないので直積ではありませんが、かなり直積に近いことがわかります。
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2018-06-16

『ガロアを読む』の §18. 素数次既約方程式 その2です。

$N$ は、$p$ 次線形置換 $L_p$ の正規部分群です。 $$N = \{\pi(1,0),\;\pi(1,1),\;\pi(1,2),\; \cdots,\; \pi(1,p-1) \}$$ $N$ の位数は素数 $p$ なので、単位元 $\pi(1,0)$ 以外の元はすべて $N$ の生成元です。 $b \not\equiv 0 \pmod p$ ならば、 $$N = \{\pi(1,b),\;[\pi(1,b)]^2,\;[\pi(1,b)]^3,\;\cdots,\;[\pi(1,b)]^p \}$$ となります。

$G$ を $L_p$ の部分群とします。$G$ が $N$ を含めば可移的な群となるのは明らかです。逆に $G$ が可移的なら $N$ を含むことを証明します。 $$\pi(a,b) = \pi(1,b-b')\pi(a,b')$$ なので $$\pi(a,b)[\pi(a,b')]^{-1} = \pi(1,b-b')$$ となりますが、これは $G$ は $a$ が同じで $b$ が異なる元を持てば、$N$ を含むことを示しています。

$G$ は可移的とすると 0 は $0,1,2,\cdots,p-1$ のすべてに移れることになります。$\pi(a,b)$ で 0 が何に移るかは $a$ には関係ありません。が、$b$ は $0,1,2,\cdots,p-1$ のすべてが必要となります。$b$ は $p$ 個の値すべてをとる必要があります。しかし、$a$ がとれる値は $1,2,\cdots,p$ の $p-1$ 個で、0 はだめです。それで、ディリクレの鳩巣原理で、$a$ は同じで $b$ は異なる2つの元を $G$ は持たなくてはなりません。(証明終り)

『ガロアを読む』とは違った方法で証明しました。
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2018-06-13

『ガロアを読む』の §18. 素数次既約方程式 その1です。

線形置換

$p$ を素数、$a$ を $p$ と互いに素な整数、$b$ を整数として、 $x = 0,1,2,\cdots,p-1$ に対し $ax+b \pmod p$ を対応させる変換 $$x \longmapsto ax+b$$ は $\{0,1,2,\cdots,p-1\}$ の置換を与えます。( $ax+b \equiv ax'+b$ ならば $x \equiv x'$ であることは容易にわかります。) この置換を $\bmod p$ に関する線形置換といいます( $p$ が素数でない場合も含めて)。 $$\pi(a,b) \;:\; x \longmapsto ax+b$$ あるいは $$\pi(a,b)=\binom{x}{ax+b}_{x \lt p}$$ と書きます。

$\pi(a,b)$ と $\pi(a',b')$ が同じ置換であることと、$a \equiv a'$ かつ $b \equiv b'$ が、同値であることも明らかです。

$\bmod p$ に関する線形置換 $\pi(a,b)$ の全体 $L_p$ は群になっています。
単位元は $\pi(1,0)$ $$x \longmapsto x$$ 結合は $\pi(a_1,b_1)\pi(a_2,b_2)=\pi(a_1 a_2, a_1 b_2 + b_1)$ $$x \longmapsto a_2 x + b_2 \longmapsto a_1 (a_2 x + b_2) + b_1 = a_1 a_2 x + a_1 b_2 + b_1$$ 逆元は $[\pi(a,b)]^{-1} = \pi(a^{-1}, -a^{-1}b)$

$a \equiv 1 \pmod p$ であるものの全体を $N$ とします。 $$N = \{\pi(1,0),\pi(1,1),\pi(1,2), \cdots, \pi(1,p-1) \}$$ あきらかに $N$ は $L_p$ の部分群でが、 $$\pi(1,b')\pi(a,b)=ax+b+b' = \pi(a,b)\pi(1,a^{-1}b')$$ なので、$N$ は $L_p$ の正規部分群です。
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2018-05-26

重根を持たない方程式 $f=0$ の根を $\alpha, \alpha_1,\cdots,\alpha_{n-1}$ とします。
通常 $\mathbb{k}(\alpha, \alpha_1,\cdots,\alpha_{n-1})$ は、$\alpha, \alpha_1,\cdots,\alpha_{n-1}$ の $\mathbb{k}$ 上の有理式で表すことのできる"数"の集合です。$\alpha, \alpha_1,\cdots,\alpha_{n-1}$ の $\mathbb{k}$ 上の有理式の集合と定義されるのではありません。 $$v \in \mathbb{k}(\alpha, \alpha_1,\cdots,\alpha_{n-1})$$ となる数 $v$ があれば、ある $\mathbb{k}$ 上の有理式 $\varphi(X, X_0, \cdots, X_{n-1})$ が少なくとも1つあって(実際は無数にあって)、 $$v=\varphi(\alpha, \alpha_1,\cdots,\alpha_{n-1})$$ となります。$\varphi(\alpha, \alpha_1,\cdots,\alpha_{n-1})$ に出てくる $\alpha, \alpha_1,\cdots,\alpha_{n-1}$ は"値の定義されている文字"と思うのがよいと思います。なぜなら、古典理論では置換は代入で行うからです。そうすると、代入は文字に代入するのが当然なので、文字としての性格があったほうがよいと思います。

文脈によって、文字としてあつかったり、数としてあつかったりするのは、ややこしいですが写像という概念がなかった時代の数学なのでしょうがないです。

それまでの有理関数体での方程式論を、代数体に拡張したのは第1論文の大きな功績のはずですが、このことはあまり評価されていないようです。

代数体の理論にするときに障害になるのが、特定の $\varphi(\alpha, \alpha_1,\cdots,\alpha_{n-1})$ の値を変えない $\alpha, \alpha_1,\cdots,\alpha_{n-1}$ の置換のすべてが群になるとは限らないことです(2017-08-10)。
しかし、複数の有理式に対して不変にする置換とすることで対処できます。

値を $\mathbb{k}$ にもつ、 $\alpha, \alpha_1,\cdots,\alpha_{n-1}$ の $\mathbb{k}$ 上の有理式すべてについて、その値を不変にするものと定義すればよいことに、ガロアは気が付いたのだと思います。

体 $\mathbb{k}(\alpha, \alpha_1,\cdots,\alpha_{n-1})$ のもつ、固有の性質と考えればいいいのです。 しかし、『ガロアを読む』は体の性質に見えるようなことは、なるべく使わない方針で書かれています。 このような方針で古典ガロア理論を構成することは可能なようだけど、第1論文の読み方として正しいとは思えません。
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2018-04-21

『ガロアを読む』の §17. 代数的可解性の必要十分条件 その7です。

拡大体の列があって、 $$\mathbb{k}=\mathbb{k}_0 \subseteq \mathbb{k}_1 \subseteq \mathbb{k}_2 \subseteq \cdots \subseteq \mathbb{k}_r \qquad \xi \in \mathbb{k}_r$$ ただし、ある $a_i \in \mathbb{k}_i$ と、ある素数 $p_i$ があって、 $$\mathbb{k}_{i+1} = \mathbb{k}_i(\sqrt[p_i]{a_i})$$ とします。 $a_i$ は $\mathbb{k}_i$ の元でなくてはなりませんが、$\sqrt[p_i]{a_i}$ がすでに $\mathbb{k}_i$ 含まれていてもよいことにします。$X^{p_i}-a_i$ は $\mathbb{k}_i$ 上、可約であってもかまいません。
$\sqrt[p_i]{a_i}$ と書いても共役根のどれかはっきりしませんので、とりあえず共役根もすべて添加するものとします。

以上の条件を満たす拡大体の列が存在するとき、可解であるとします。

次の条件も満たすように改良します。
  1.  $\mathbb{k}_i$ は 1の原始 $p_i$ 乗根を含む
  2.  $X^{p_i}-a_i$ は $\mathbb{k}_i$ 上既約
$\mathbb{k}_i$ に 1の原始 $p_i$ 乗根 $\omega_{p_i}$ が含まれていない場合、$\sqrt[p_i]{a_i}$ を添加する直前に、列に挿入する形で、$\omega_{p_i}$ を構成するのに必要なべき根を添加します。それらの次数は $p_i$ より小さいです。その時に、さらに1のべき根が必要ならば、それを構成するのに必要なべき根の添加を、列に挿入します。それらの次数はさらに小さくなるので、有限個の挿入で済むことがわかります。 それで拡大体の列は次のようになります。 $$\mathbb{k}=\mathbb{k}_0 \subseteq \mathbb{k}_1 \subseteq \mathbb{k}_2 \subseteq \cdots \subseteq \mathbb{k}_r \qquad \xi \in \mathbb{k}_r$$ ただし、ある $a_i \in \mathbb{k}_i$ と、ある素数 $p_i$ があって、 $$\mathbb{k}_{i+1} = \mathbb{k}_i(\sqrt[p_i]{a_i}) \qquad \omega_{p_i} \in \mathbb{k}_i$$ これで $\sqrt[p_i]{a_i}$ を1つ添加すれば、その共役根も $\mathbb{k}_{i+1}$ に含まれることになります。
もし、$\mathbb{k}_{i}$ に $\sqrt[p_i]{a_i}$ がすでに含まれていれば、その共役根もすべて含まれており、$\sqrt[p_i]{a_i}$ を添加する必要はありません。ので、これを列から削除します。また、列の途中の体で $\xi$ を含むならば、そこから先も必要ないので、列から削除します。添え字の数字を整理して次のようになります。 $$\mathbb{k}=\mathbb{k}_0 \subset \mathbb{k}_1 \subset \mathbb{k}_2 \subset \cdots \subset \mathbb{k}_r \qquad \xi \in \mathbb{k}_r$$ ただし、ある $a_i \in \mathbb{k}_i$ と、ある素数 $p_i$ があって、 $$\mathbb{k}_{i+1} = \mathbb{k}_i(\sqrt[p_i]{a_i}) \qquad \omega_{p_i} \in \mathbb{k}_i$$ さらに $$X^{p_i}-a_i=0$$ は $\mathbb{k}_i$ 上既約な方程式です。なぜなら、$\mathbb{k}_i$ は $\sqrt[p_i]{a_i}$ とその共役根を1つも含みません。$p_i$ 乗して $a_i$ になる数を含まないので既約です(証明は 2018-02-17)。

列に現れる体で、順にガロア分解式を分解していきます。 ガロア群はそのままか、位数が $1/p_i$ の正規部分群になります(2018-03-31)。そして最後にガロア群は $\{e\}$ となります。 $$G_i = \mathrm{Gal}(\;\mathbb{k}_i(\xi)/\mathbb{k}_i\;)$$ と定義して正規列をつくって $$G=G_0 \rhd G_1 \rhd G_2 \rhd \cdots \rhd G_r = \{e\}$$ $G_i=G_{i+1}$ になっている所は取り除いて、添字の数字を整理すれば、 指数が素数の正規部分群になる正規列になります。

特に、可解ならばガロア群は指数が素数の正規部分群を少なくとも1つもつことが証明されました(もちろんガロア群が $\{e\}$ ではない場合ですが)。

もし、$G_{i+1}$ が $G_i$ の正規部分群のなかで指数が最小の素数となっていなければ、ラグランジュの分解式からつくられるべき根と、必要な1のべき根を構成するべき根を $\mathbb{k}_i$ に添加した体をつくって… 以降はこの繰り返しです。 ということで、可解ならば次の正規列があることが証明できました。 $$G=G_0 \rhd G_1 \rhd G_2 \rhd \cdots \rhd G_r = \{e\}$$ これは以下の2つの条件をみたします。
  1.  $G_{i+1}$ は $G_i$ の正規部分群で指数が素数
  2.  $G_i$ には $G_{i+1}$ の指数より小さい素数を指数とする正規部分群が存在しない

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2018-04-09

『ガロアを読む』の §17. 代数的可解性の必要十分条件 その6です。

$G \rhd H$ (または$H \lhd G$ )と書いて $H$ は $G$ の正規部分群である、とします。

$G$ から始まり、$\{e\}$ で終わる正規列が存在するとします。 $$G=G_0 \rhd G_1 \rhd G_2 \rhd \cdots \rhd G_r = \{e\}$$ これは次の2つの条件をみたすものとします。
  1.  $G_{i+1}$ は $G_i$ の正規部分群で指数が素数
  2.  $G_i$ には $G_{i+1}$ の指数より小さい素数を指数とする正規部分群が存在しない
このとき、$G$ は可解群であるとされます。2. の条件を含めた説明をする本は少ないと思いますが、ガロアの工夫です。これにより1のべき根の処理が楽になります。また、普通に可解群といわれているものはこの形の正規列をもつことが群論的に証明できるはずです。

ガロア群が可解群ならば可解、を証明します。

$\mathbb{k}_0$ 上のガロア分解式を $g_0(X)$、 ガロア群は $G_0$ です。
$$\mathbb{k}_0(\xi)=\mathbb{k}_0(\alpha, \alpha_1,\cdots, \alpha_{n-1})\qquad G_0=\mathrm{Gal}(\;\mathbb{k}_0(\xi)/\mathbb{k}_0\;)$$ $G_1$ は $G_0$ の指数 $p$ の正規部分群です。

$\theta$ は $\mathbb{k}_0$ 上の $\alpha, \alpha_1,\cdots, \alpha_{n-1}$ の有理式で、$G_1$ の置換で値は変わらず、$G_1$ 以外の $G_0$ の置換のすべてで値を変えるものとします(その存在証明は2018-02-01)。 $$\theta = \varphi(\alpha, \alpha_1,\cdots, \alpha_{n-1})$$ $G_0$ を $G_1$ で左剰余類分割して $$G_0 = G_1 + \sigma G_1 + \sigma^2 G_1 + \cdots + \sigma^{p-1}G_1$$ $$\theta_1=\sigma\theta,\;\theta_2=\sigma\theta_1,\;\cdots,\;\theta_{p-1}=\sigma\theta_{p-2}$$ とおき、“ラグランジュ分解式”をつくります。 $$r=\theta+\omega\theta_1+\omega^2\theta_2+\cdots+\omega^{p-1}\theta_{p-1}$$ $\omega$ は1の原始 $p$ 乗根で、$\omega \notin \mathbb{k}_0$ ならば、$\omega$ を構成するのに必要なべき根を $\mathbb{k}_0$ に添加して $\mathbb{k}'_0$ とします。
このとき、ガロア分解式 $g_0(X)$ が $\mathbb{k}'_0$ で分解されることはありません。なぜなら、添加する必要のあるべき根の最小多項式の次数は $p$ より小さいことがガウスの研究でわかっているからです。仮定より $G_0$ は 指数が $p$ より小さい素数の正規部分群を持ちません。ゆえに $g_0(X)$ は $\mathbb{k}'_0$ でも既約で、ガロア群も変化なしです。
$\omega \in \mathbb{k}_0$ ならば、$\mathbb{k}_0$ をそのままで $\mathbb{k}'_0$ とします( $\mathbb{k}'_0 = \mathbb{k}_0$ )。
$$G_0=\mathrm{Gal}(\;\mathbb{k}_0(\xi)/\mathbb{k}_0\;)=\mathrm{Gal}(\;\mathbb{k}_0'(\xi)/\mathbb{k}_0'\;)$$ $\omega \in \mathbb{k}'_0$ で $r \ne 0$ とします。 $$r^p \in \mathbb{k}'_0$$ なので、ある $a_0\in\mathbb{k}'_0$ があって、 $$r^p = a_0 \qquad r=\sqrt[p]{a_0}$$ と、なります。 $$\mathbb{k}_1=\mathbb{k}'_0(\sqrt[p]{a_0})$$ とすれば、$\mathbb{k}_1$ 上では ガロア分解式 $g_0(X)$ は $p$ 個の因子の積に分解されます。 $$g_0(X) = g_1(X,\;\sqrt[p]{a_0})g_1(X,\;\omega\sqrt[p]{a_0})\cdots g_1(X,\;\omega^{p-1}\sqrt[p]{a_0})$$ 順列の群は、同数の順列を含む $p$ 個のグループに分かれます。
$\mathbb{k}_1$ 上のガロア群の位数は $1/p$ になり、指数 $p$ の正規部分群となります。 $$G_1=\mathrm{Gal}(\;\mathbb{k}_1(\xi)/\mathbb{k}_1\;)$$ ガロア分解式は $g_1(X,\;\sqrt[p]{a_0})$ を $g_1(X)$ と書いて $\mathbb{k}_1$ 上のガロア分解式とします。

以下同様に、べき根拡大体 $\mathbb{k}_2,\;\mathbb{k}_3,\cdots,\mathbb{k}_r$ とつくっていけば、 $\mathbb{k}_r$ 上では、順列の群はただ一つの順列しか含まず、ガロア群は $\{e\}$ となり、ガロア分解式は1次式になります。 $$g_r(X)=X-\xi$$ これが $\mathbb{k}_r$ 上の多項式なので、$\xi \in \mathbb{k}_r$ です。ゆえに、$\alpha, \alpha_1,\cdots, \alpha_{n-1} \in \mathbb{k}_r$ となり、あるべき根拡大体で解けることがわかります。(証明終り)

普通、方程式を解くというのは、未知数を既知の数で表すことです。「各 $a_i$ を、求める根 $\alpha, \alpha_1,\cdots, \alpha_{n-1}$ を使わずに表示する方法を具体的に示さなければ、解いたことにならないではないか?」と怒る人もいるかもしれません。しかし、そこを許してもらえれば、ガウスの1のべき根の解法が、可解な代数方程式のすべてに拡張できるわけです。
可解=あるべき根拡大体に解が存在する、ということで、いわゆる存在証明ですね。
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2018-03-31

『ガロアを読む』の §17. 代数的可解性の必要十分条件 その5です。

$p$ を素数とします。 $\omega$ は1の原始 $p$ 乗根 で、$\omega \in \mathbb{k}$ とします。 $$\mathbb{k}(\xi)=\mathbb{k}(\alpha, \alpha_1,\cdots, \alpha_{n-1})\qquad G=\mathrm{Gal}(\;\mathbb{k}(\xi)/\mathbb{k}\;)$$ $\mathbb{k}$ 上既約な2項方程式 $$X^p-a=0$$ の根 $\sqrt[p]a \notin \mathbb{k}$ の添加によって $\mathbb{k}(\sqrt[p]a)$ 上の ガロア群 $\mathrm{Gal}(\;\mathbb{k}(\sqrt[p]a)(\xi)/\mathbb{k}(\sqrt[p]a)\;)$ がどうなるか?ということを考えます。

1.$\mathbb{k}$ 上のガロア分解式 $g(X)$ が、$\mathbb{k}(\sqrt[p]a)$ 上で因数分解され、既約因子 $G(X,\sqrt[p]a)$ を持つ場合。

このとき $g(X)$ は次のように $p$ 個の積に分解されます。 $$g(X)=G(X,\sqrt[p]a)\,G(X,\omega\sqrt[p]a)\,G(X,\omega^2\sqrt[p]a) \cdots G(X,\omega^{p-1}\sqrt[p]a)$$ $G(X,\sqrt[p]a)$ から $\mathbb{k}(\sqrt[p]a)$ 上のガロア群 $\mathrm{Gal}(\;\mathbb{k}(\sqrt[p]a)(\xi)/\mathbb{k}(\sqrt[p]a)\;)$ を求めることができますが、$\mathbb{k}(\sqrt[p]a)$ は $\sqrt[p]a$ の共役根すべてを含むので指数 $p$ の正規部分群になります。それを $H$ とします。 $$H=\mathrm{Gal}(\;\mathbb{k}(\sqrt[p]a)(\xi)/\mathbb{k}(\sqrt[p]a)\;)$$ $G$ は $H$ で次のように左剰余分割されます。 $$G = H + \sigma H + \sigma^2 H + \cdots + \sigma^{p-1}H$$ $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の順列 $A$ を定義します。 $$A = (\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$$ $A$ の $G$ による軌道 $GA$ が、ガロアのいう“順列の群”であって $$HA,\;\sigma HA,\; \sigma^2 HA,\;\cdots,\;\sigma^{p-1}HA$$ の $p$ 個の“グループ”に分かれます。これらの順列のグループは次の性質をもちます(つまり $H$ は $G$ の正規部分群ということです)。
  1. 同一の置換によって一つのグループから他のグループに移れる
    (例えば、$HA$ から $\sigma$ によって $\sigma HA$ に移れる)
  2. どのグループも同じ置換を含む
    (グループ内の順列を1つ固定して、そこからグループ内の順列に移る置換の集合をつくる。するとどのグループからも同じ置換の集合が得られる)
2.$\mathbb{k}$ 上のガロア分解式 $g(X)$ が、$\mathbb{k}(\sqrt[p]a)$ 上でも因数分解されずに既約である場合。

ガロア分解式 $g(X)$ が分解されないので、ガロア群もそのままです。 $$G=\mathrm{Gal}(\;\mathbb{k}(\sqrt[p]a)(\xi)/\mathbb{k}(\sqrt[p]a)\;)$$ 順列の群もそのままです。
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2018-03-23

『ガロアを読む』の §17. 代数的可解性の必要十分条件 その4です。

“ラグランジュの分解式”の性質について。

$\theta$ は $\mathbb{k}$ 上の有理式として、 $$\theta = \varphi(\alpha, \alpha_1,\cdots, \alpha_{n-1})$$ とおきます。$\theta$ を不変にするガロア群 $G$ の部分群を $H$ としますが、$H$ は $G$ の指数 $p$ (素数)の正規部分群とします。 $$\mathbb{k}(\xi)=\mathbb{k}(\alpha, \alpha_1,\cdots, \alpha_{n-1})\qquad G=\mathrm{Gal}(\;\mathbb{k}(\xi)/\mathbb{k}\;)$$ $G$ を $H$ で左剰余類分割して $$G = H + \sigma H + \sigma^2 H + \cdots + \sigma^{p-1}H$$ が得られます。 $$\theta_1=\sigma\theta,\;\theta_2=\sigma\theta_1,\;\cdots,\;\theta=\sigma\theta_{p-1}$$ とおくと、$\theta,\theta_1,\cdots,\theta_{p-1}$ の中に同じものはありません。

“ラグランジュ分解式” $$r=\theta+\omega\theta_1+\omega^2\theta_2+\cdots+\omega^{p-1}\theta_{p-1}$$ $\omega$ は1の原始 $p$ 乗根で、$\omega \in \mathbb{k}$ 、$r \ne 0$ とします。

$\rho \in H$ に対しては $$\rho\theta = \theta,\;\rho\theta_1 = \theta_1,\;\cdots,\;\rho\theta_{p-1} = \theta_{p-1} \qquad \rho\omega=\omega$$ だから $$\rho r = r$$ となり不変。

$\sigma$ に対しては $$\begin{eqnarray} \sigma r &=& \sigma\theta+\omega\sigma\theta_1+\omega^2\sigma\theta_2+\cdots+\omega^{p-1}\sigma\theta_{p-1}\\ &=& \theta_1+\omega\theta_2+\omega^2\theta_3+\cdots+\omega^{p-1}\theta \end{eqnarray}$$ さらに $\omega$ 倍すると、$\omega^p = 1$ だから、 $$\begin{eqnarray} \omega\sigma r &=& \omega\theta_1+\omega^2\theta_2+\omega^3\theta_3+\cdots+\omega^p\theta\\ &=& r \end{eqnarray}$$ ゆえに $$\sigma r = \omega^{-1}r$$ となり変化します。ただし $r^p$ に対しては $$\sigma r^p = (\sigma r)^p = (\omega^{-1}r)^p = \omega^{-p}r^p = r^p$$ となり不変。

以上のことから、 $$r^p \in \mathbb{k},\quad r \notin \mathbb{k}$$ であることがわかります。 $$X^p-r^p$$ の根は $r,\;\sigma r,\;\sigma^2 r,\; \cdots, \;\sigma^{p-1} r$ だけであり、$\mathbb{k}$ 上の既約多項式であることもわかります。

$\mathbb{k'}=\mathbb{k}(r)$ とおくと、 $$H=\mathrm{Gal}(\;\mathbb{k'}(\xi)/\mathbb{k'}\;)$$ となります。
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2018-03-17

『ガロアを読む』の §17. 代数的可解性の必要十分条件 その3です。

“ラグランジュの分解式”の性質について。

$\theta$ は $\mathbb{k}$ 上の有理式として、 $$\theta = \varphi(\alpha, \alpha_1,\cdots, \alpha_{n-1})$$ とおきます。$\theta$ を不変にするガロア群 $G$ の部分群を $H$ としますが、$H$ は $G$ の指数 $p$ (素数)の正規部分群とします。$G$ を $H$ で左剰余類分割して $$G = H + \sigma H + \sigma^2 H + \cdots + \sigma^{p-1}H$$ が得られます。 $$\theta_i = \sigma^i\theta \qquad (i \lt p)$$ とおきます。
1の原始 $p$ 乗根の1つを $\omega$ とします。1の原始 $p$ 乗根とは、1の $p$ 乗根のうちで、$p$ 乗してはじめて1になるものです。 $$\omega \ne 1,\;\cdots,\;\omega^{p-1} \ne 1,\;\omega^p=1$$ といっても $p$ は素数としているので、1以外の1の $p$ 乗根はすべて、1の原始 $p$ 乗根です。 $$\omega,\;\omega^2,\;\cdots,\;\omega^{p-1}$$ が、1の原始 $p$ 乗根です。 $$\displaystyle \frac{X^p-1}{X-1}=X^{p-1}+X^{p-2}+\cdots+X+1$$ が、1の原始 $p$ 乗根の有理数体上の最小多項式です。(よくアイゼンシュタインの判定法で証明されるやつです。)

“ラグランジュ分解式” $$r=\theta+\omega\theta_1+\omega^2\theta_2+\cdots+\omega^{p-1}\theta_{p-1}$$ で 1の原始 $p$ 乗根 $\omega$ を適当に選べば $r \ne 0$ としてよいことを証明します。

$\omega$ を他の1の原始 $p$ 乗根で置き換えたものを考えます。( $j = 1,2,\cdots,p-1$ ) $$r_j=\theta+\omega^j\theta_1+\omega^{2j}\theta_2+\cdots+\omega^{(p-1)j}\theta_{p-1}$$ 式が $p-1$ 本しかないので工夫します。1の原始 $p$ 乗根の最小多項式より、 $$\omega^{(p-1)j}=-1-\omega^j-\cdots-\omega^{(p-3)j}-\omega^{(p-2)j}$$ がわかりますから、これを代入します。 $$r_j=(\theta-\theta_{p-1})+\omega^j(\theta_1-\theta_{p-1})+\omega^{2j}(\theta_2-\theta_{p-1})+\cdots+\omega^{(p-2)j}(\theta_{p-2}-\theta_{p-1})$$ 行列で書きます。 $$\left( \begin{array}{c} r_1 \\ r_2 \\ r_3 \\ \vdots \\ r_{p-1} \end{array} \right) = \left( \begin{array}{lllll} 1 & \omega & \omega^2 & \cdots & \omega^{p-2} \\ 1 & \omega^2 & \omega^{2 \cdot 2} & \cdots & \omega^{2(p-2)} \\ 1 & \omega^3 & \omega^{3 \cdot 2} & \cdots & \omega^{3(p-2)} \\ \vdots & \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ 1 & \omega^{p-1} & \omega^{(p-1) \cdot 2} & \cdots & \omega^{(p-1)(p-2)} \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} \theta-\theta_{p-1} \\ \theta_1-\theta_{p-1} \\ \theta_2-\theta_{p-1} \\ \vdots \\ \theta_{p-2}-\theta_{p-1} \end{array} \right)$$ 係数行列の行列式は、ヴァンデルモンドの行列式で、$\omega,\;\omega^2,\;\cdots,\;\omega^{p-1}$ の差積であり、0 ではありません。ですから、もし $r_1,r_2,\cdots,r_{p-1}$ のすべてが 0 ならば、 $$\theta-\theta_{p-1} = \theta_1-\theta_{p-1} = \theta_2-\theta_{p-1} = \cdots = \theta_{p-2}-\theta_{p-1} = 0$$ であり、 $$\theta=\theta_1=\cdots=\theta_{p-2}=\theta_{p-1}$$ となって矛盾します。$r_1,r_2,\cdots,r_{p-1}$ のどれかは 0 ではありません。$r_j \ne 0$ となる $r_j$ を $r$ とおけば(同時に $\omega^j$ を $\omega$ とおくわけですが)$r \ne 0$ となります。

『ガロアを読む』とは少し違った方法で証明しました。
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2018-03-12

『ガロアを読む』の §17. 代数的可解性の必要十分条件 その2です。

“ラグランジュの分解式”に入ります。

$\varphi$ は $\mathbb{k}$ 上の有理式として、 $$\psi = \varphi(\alpha, \alpha_1,\cdots, \alpha_{n-1})$$ とおきます。$\psi$ を不変にするガロア群 $G$ の部分群を $H$ としますが、$H$ は $G$ の指数 $p$ (素数)の正規部分群とします。$G$ を $H$ で左剰余類分割して $$G = H + \sigma_1 H + \cdots + \sigma_{p-1}H$$ この $\sigma_1,\cdots,\sigma_{k-1}$ を $\psi$ に作用させて、 $$\psi,\; \sigma_1\psi,\; \cdots,\; \sigma_{p-1}\psi$$ が得られますが、これは $\psi$ から $G$ の置換で生じるもののすべてです。 $$\psi_i = \sigma_i\psi \qquad (i \lt p)$$ とおきます。

すると各 $\psi_i \;\; (i \lt p)$ を不変にする $G$ の部分群 $H_i$ は $$H_i = \sigma_i H \sigma^{-1} = H$$ なので、$H$ の置換は、$\psi,\psi_1,\cdots,\psi_{p-1}$ のすべてを不変にします。

それで剰余類群 $G/H$ は $\psi,\psi_1,\cdots,\psi_{p-1}$ の置換として表現できるのですが、これはほとんど「ガロア理論の第2主定理」ですね。 “ラグランジュの分解式”を説明するには「ガロア理論の第2主定理」を説明しておいたほうがいいのでしょうか?  それはともかく先に進みます。

ガロア第1論文には、次のような文があるそうです。

『ガロアを読む』180ページ(§18. 素数次既約方程式)
素数 $n$ 個の文字の順列群はこれらの順列の一つが他の順列から位数 $n$ の巡回置換の一つによって導かれないならば $n$ 個の順列に分解することはできない.

そのあとにコーシー(1815)の論文を引用しているそうで、その内容について。

J.ロットマン「改訂新版 ガロア理論」シュプリンガー・フェアラーク東京 196ページ
コーシー(1815年)は,置換群の解析,たとえば,任意の置換の無関連な巡回元の積への分解などを確立した.彼は,素数 $n$ に対して,$S_n$ は $2 \lt r \le n$ の指数 $r$ の部分群をもたないことも証明した.

巡回置換は $(\psi\quad\psi_1\quad\cdots\quad\psi_{p-1})$ のように書いて、 $\psi$ を $\psi_1$ に、$\psi_1$ を $\psi_2$ に、$\cdots\cdots$ 、$\psi_{p-1}$ を $\psi$ に置換するという意味です。必要なら $\psi$ の添字を書き換えて、剰余類群 $G/H$ の元 $\bar{\sigma}$ を定義します。 $$\bar{\sigma} = (\psi\quad\psi_1\quad\cdots\quad\psi_{p-1})$$ $G/H$ の位数が素数 $p$ ですから、 $$G/H = \{\bar{\sigma},\ \bar{\sigma}^{\,2},\ \cdots,\ \bar{\sigma}^{\,p-1},\ \bar{\sigma}^{\,p}=\bar{e}\}$$ それで、$\bar{\sigma}$ の類に属する $G$ の元の1つを $\sigma$ とすると、 $$G = H + \sigma H + \sigma^2 H + \cdots + \sigma^{p-1}H$$ の形に剰余類分割されます。
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