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2017-10-16

『ガロアを読む』の §15. 既約方程式の根の添加によるガロア群の簡約 その2です。

$k$ 上の $p$ 次の既約方程式(ただし、 $p$ は必ずしも素数ではない) $$s(X) = 0$$ を補助方程式とし、その根を $r, r', r'', \cdots, r^{(p-1)}$ とします。

$k$ 上の ガロア分解式 $g$ が次のように体 $k' = k(r)$ 上で因数分解できたとします。 $$g(X) = G(X, r)Q(X, r)$$ $G(X, r), Q(X, r)$ は $k$ 上の $r$ の多項式を係数とする $X$ の多項式という意味です。両方ともモニック多項式( $X$ の最上位の係数が1である多項式)で、$G(X, r)$ は $k(r)$ 上既約な多項式とします。

$G(X, r)$ は $g(X)$ を割り切るわけですが、$G(X, r)$ の $r$ を他の共役根に置き換えた $G(X, r')$ も $g$ を割り切ります。それは実際に $g(X)$ を $G(X, r)$ で割る多項式の計算をしてみることを想像してみれば明らかです。計算にあらわれる $X$ の係数は $r$ の多項式ですが、それは $s(r) = 0$ を使って簡略化されます。この計算にあらわれる$r$ を $r'$ に置き換えれば、$g(X)$ を $G(X, r')$ で割る正しい計算になります。

$G(X, r)$ の $r$ を他の共役根に置き換えたものすべてを掛け合わせ $h(X)$ とします。(『ガロアを読む』では $h_0(X)$ となっていますが、なぜ 0 が付いているのかわかりません。) $$h(X) = G(X, r)G(X, r')\cdots\cdots G(X, r^{(p-1)})$$ この右辺は、 $r, r', r'', \cdots, r^{(p-1)}$ の任意の置換で不変なので、展開したものは、$k$ 上の多項式です。ですから、右辺を展開したものを $h(X)$ とします。(いちいち、展開したもの、と言わなくてもいい暗黙のルールがあるのでしょうか?)

$G(X, r), G(X, r'), \cdots\cdots, G(X, r^{(p-1)})$ はすべて $g(X)$ を割り切るので、$G(X, r), G(X, r'), \cdots\cdots, G(X, r^{(p-1)})$ の根はすべて $g(X)$ の根です。$g(X)$ はその根の $k$ 上の最小多項式です。ですから、$g(X)$ は $h(X)$ を割り切ります。$g(X)$ を $h(X)$ で割った商を新たに $Q(X)$ とします。 $Q(X)$ が 1 でないのなら、$Q(X)$ の根は $g(X)$ の根でもあるので、 $g(X)$ で割り切れます。その割り算の商を新たに $Q(X)$ として… と繰り返すことができます。ある自然数 $j$ があって、 $$h(X) = g(X)^j$$ が成立します。
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2017-10-12

『ガロアを読む』の §15. 既約方程式の根の添加によるガロア群の簡約 を整理したいと思います。

$k$ 上の $p$ 次の既約方程式 $$s(X) = 0$$ を補助方程式と考え、その根を $r, r', r'', \cdots, r^{(p-1)}$ としよう。ここに $p$ は必ずしも素数ではない。

ガロア分解式 $g$ が次のように体 $k' = k(r)$ 上で因数分解できたとする。 $$g(X) = G(X)Q(X)$$ $G, Q$ は $k(r)$ 上の多項式で、$G(X)$ は $\xi$ を根とする $k(r)$ 上既約なモニック多項式( $X$ の最上位の係数が1である多項式)とする。 $\xi$ は $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の有理数体上の有理式であり、 $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ は $\xi$ の $k$ 上の有理式だから、無論 $k(r)$ 上の有理式である。ゆえに、$f$ を $k(r)$ の多項式と考えたとき、$G$ は $f$ のガロア分解式となる(このことを簡単に、$G$ は $k(r)$ 上の $f$ の分解式であるという)。

$f$ の $k$ 上のガロア群を求め(それを $G$ とします)、その性質を証明したのとまったく同様に、$f$ の $k(r)$ 上のガロア群が求まり(それを $H$ とします)、性質が証明される。 すなわち、
  1.  $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の $k(r)$ 上の有理式すべてに対して、その値が $k(r)$ に属するならば $H$ の置換は、その値を変えない。この性質を持つ $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の置換は、$H$ の置換以外にはない。
  2.  $H$ の置換のすべてで値を変えない $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の $k(r)$ 上の有理式の値は、$k(r)$ に属する。
$H$ の置換は、$\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の $k$ 上の有理式すべてに対して、その値が $k$ に属するならば、値を変えないので、$G$ の部分群です。
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2017-09-13

原方程式 $k$ 上の重根を持たない $n$ 次方程式 $f(X)=0$
原方程式の根 $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$
$$\xi = c\alpha + c_1\alpha_1 + \cdots + c_{n-1}\alpha_{n-1} = \varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$$ ただし、$\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$ は、$\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ は $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$の任意の置換ですべて異なる値になる。$c, c_1,\cdots,c_{n-1}$ は有理数(整数としてもよい)。
$\xi$ の $k$ 上の最小多項式がガロア分解式で $g(X)$ 、次数は $m$、 この多項式の根は $\xi, \xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ の $m$ 個。
$\theta_0, \theta_1, \cdots, \theta_{n-1}$ は $k$ 上の多項式。 $$\xi = \varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) \qquad (\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = (\theta(\xi),\theta_1(\xi),\cdots,\theta_{n-1}(\xi))$$ という関係があります。

$f_1(X),f_2(X)$ を $k$ 上の多項式とします。
$f_1(\xi)=f_2(\xi)$ ならば、 $f_1(\xi_1)=f_2(\xi_1), f_1(\xi_2)=f_2(\xi_2), \cdots, f_1(\xi_{m-1})=f_2(\xi_{m-1})$ のすべてが成立します。

$f_1(X)-f_2(X)$ は $g(X)$ と根 $\xi$ を共有してます。ゆえに、$f_1(X)-f_2(X)$ は $g(X)$ で割り切れ、他の根 $\xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ も共有します。

同じ値の多項式は、すべて同じ値の多項式に変換されます。 また、値が0となる多項式のみが、値が0となる多項式に変換されます。
例えば、$f_1(\xi_1)=0$ なら逆の変換で $f_1(\xi)=0$ になります。

$f_1(X),f_2(X)$ を $k$ 上の有理式としても、 $f_1(\xi)=f_2(\xi)$ ならば、 $f_1(\xi_1)=f_2(\xi_1), f_1(\xi_2)=f_2(\xi_2), \cdots, f_1(\xi_{m-1})=f_2(\xi_{m-1})$ のすべてが成立することが分かります。 それゆえに、値で類別して、値を値に移す写像として well-defined です。 有理関係を変えない変換になっています。(先に多項式について述べるのは、有理式を変換したときに、分母が0になることがないことを示すため)この性質は、$\xi, \xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ が $k$ 上の最小多項式 $g(X)$ を共有しているから、と言ってもいいですね。

$\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の順列 $A,A_1,\cdots,A_{m-1}$ を定義します。 \begin{eqnarray} A &=& (\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = (\theta(\xi),\theta_1(\xi),\cdots,\theta_{n-1}(\xi))\\ A_1 &=& (\alpha', \alpha_1', \cdots, \alpha'_{n-1}) = (\theta(\xi_1),\theta_1(\xi_1),\cdots,\theta_{n-1}(\xi_1))\\ A_2 &=& (\alpha'', \alpha_1'', \cdots, \alpha''_{n-1}) = (\theta(\xi_2),\theta_1(\xi_2),\cdots,\theta_{n-1}(\xi_2))\\ &\vdots&\\ A_{m-1} &=& (\alpha^{(m-1)}, \alpha_1^{(m-1)}, \cdots, \alpha_{n-1}^{(m-1)}) = (\theta(\xi_{m-1}),\theta_1(\xi_{m-1}),\cdots,\theta_{n-1}(\xi_{m-1})) \end{eqnarray} これらから、$A$ から出発する置換の集合が作られます。置換の集合 $S$ とします。 $$S = \left\{\binom{A}{A},\ \binom{A}{A_1},\ \cdots, \ \binom{A}{A_{m-1}} \right\}$$ $F(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$ を $k$ 上の任意の有理式とします。 $$F(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = F(\theta(\xi),\theta_1(\xi),\cdots,\theta_{n-1}(\xi))$$ と書けるので、$F$ は $\xi$ の $k$ 上の有理式とみなせます。$\xi$ の $k$ 上の最小多項式 $g$ があるから、$\xi$ の $k$ 上の多項式に直せます。それを $\psi(\xi)$ とします。次数は、$g$ の次数 $m$ より小さい。
$$F(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = F(\theta(\xi),\theta_1(\xi),\cdots,\theta_{n-1}(\xi)) = \psi(\xi)$$ これに、集合 $S$ の置換を施します。 $$\binom{A}{A} F(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = F(\theta(\xi),\theta_1(\xi),\cdots,\theta_{n-1}(\xi)) = \psi(\xi)$$ $$\binom{A}{A_1} F(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = F(\theta(\xi_1),\theta_1(\xi_1),\cdots,\theta_{n-1}(\xi_1)) = \psi(\xi_1)$$ $$\binom{A}{A_{m-1}} F(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = F(\theta(\xi_{m-1}),\theta_1(\xi_{m-1}),\cdots,\theta_{n-1}(\xi_{m-1})) = \psi(\xi_{m-1})$$ これらのすべてが同じ値になったとします。 $$\psi(\xi) = \psi(\xi_1) = \cdots = \psi(\xi_{m-1})$$ 次数が $m$ より小さい多項式が、$m$ 個の異なる値で、同じ値になるということは、$\psi$ は定数項しかないことになります。したがって、$\psi(\xi)$ の値は体 $k$ に属すします。

逆に$\psi(\xi)$ の値が体 $k$ に属するならば、$\psi$ は定数項しかありません。したがって、 $$\psi(\xi) = \psi(\xi_1) = \cdots = \psi(\xi_{m-1})$$ が成立します。

集合 $S$ の置換は、$k$ 上の $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ のすべての有理式に対して、その値が $k$ に属するならば値を変えません。また、この性質をもつ $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の置換は、集合 $S$ の置換しかありません。もし、あればその置換を、 $$g(\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}))=0$$ に施せば矛盾します。

順列の集合 $\{A, A_1, \cdots, A_{m-1}\}$ から、$A_1$ から出発する置換の集合 $S_1$ を定義します。 $$S_1 = \left\{\binom{A_1}{A},\ \binom{A_1}{A_1},\ \cdots, \ \binom{A_1}{A_{m-1}} \right\}$$ $F(\alpha', \alpha'_1, \cdots, \alpha'_{n-1})$ を $k$ 上の任意の有理式として、集合 $S_1$ の置換を施すと、$S$ のときと同様の性質がわかります。
集合 $S_1$ の置換は、$k$ 上の $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ のすべての有理式に対して、その値が $k$ に属するならば値を変えません。また、この性質をもつ $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の置換は、集合 $S_1$ の置換しかありません。ですから、$S_1$ は $S$ と置換の集合としては同じものです。

順列の集合 $\{A, A_1, \cdots, A_{m-1}\}$ から、どの順列を出発点とする置換の集合をつくっても、置換の集合としては同じものになります。 したがって、置換の集合 $S$ は群になっています。

置換の集合 $S$ がガロア群です。ガロアの群の定義を使えば、対称性から群になっていると言えるわけです。
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2017-09-05

$k$ 上の多項式 $\theta_0, \theta_1, \cdots, \theta_{n-1}$ の存在については、ガロアは別の方法で証明していると『ガロアを読む』に書いてあります。整理してみると、ガロアはガロア分解式を使って証明したようです。
$$\xi = c\alpha + c_1\alpha_1 + \cdots + c_{n-1}\alpha_{n-1} = \varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$$ $$G(X) = (X-\xi)(X-\xi_1)\cdots(X-\xi_{n!-1})$$ $G(X)$ を展開した後、体 $k$ で因数分解し、既約因子のうち $\xi$ を根に持つものを $g(X)$ とし、その次数を $m$ とします。$g(X)$ の $m$ 個の根を $\xi, \xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ とします。 $$G(X) = (X-\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})) (X-\varphi(\alpha', \alpha_1', \cdots, \alpha'_{n-1})) \cdots (X-\varphi(\alpha^{(n!-1)}, \alpha_1^{(n!-1)}, \cdots, \alpha^{(n!-1)}_{n-1}))$$ $\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$ の1文字め(最初の引数)が $\alpha$ になってるもの、 $\alpha_1$ になってるもの、$\alpha_2$ になってるもの、という風に分類し、$G_0(X), G_1(X), \cdots, G_{n-1}(X)$ とします。 $$G(X)=G_0(X)G_1(X) \cdots\cdots G_{n-1}(X)$$ です。 $G_0(X)$ の $\alpha$ を 文字 $Y$ で置き換えて、$G_0(X,Y)$ として、$X,Y$ の多項式とします。その係数は $\alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の多項式で、$\alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の対称式になっています。 $\alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の基本対称式は、原方程式の係数を使って、$\alpha$ の $k$ 上の多項式として表すことができます。 $$G_0(X,Y) = \sum A_{ij}(\alpha)X^iY^j$$ この $\alpha$ をさらに $Y$ で置き換えて $F(X,Y)$ とします。 $$F(X,Y) = \sum A_{ij}(Y)X^iY^j$$ $$F(X,\alpha) = G_0(X,\alpha) = G_0(X)$$ $\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$ の最初の引数を固定したものから作ったことが本質的で、$G_1(X), G_2(X), \cdots$ のどれから作っても、結局同じ多項式 $F(X,Y)$ が出来ます。 $$F(X,\alpha_1) = G_1(X),\; F(X,\alpha_2) = G_2(X),\; \cdots, \; F(X,\alpha_{n-1}) = G_{n-1}(X)$$ $$G(X)=F(X,\alpha)F(X,\alpha_1)\cdots F(X,\alpha_{n-1})$$ この中で、$(X-\varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}))$ を因子として持つのは、$F(X,\alpha)$ のみです。ゆえに、$F(\xi,\alpha)=0$ で、 $F(\xi,\alpha_1)\ne 0,\cdots, F(\xi,\alpha_{n-1})\ne 0$ です。

こうして、$f(Y)$ と $F(\xi,Y)$ の共通因子は $Y-\alpha$ だけです。 すなわち、$Y-\alpha$ は $f(Y)$ と $F(\xi,Y)$ の最大公約元であるが、$f(Y)$ も $F(\xi,Y)$ も $k(\xi)$ 上の多項式だから $Y-\alpha$ もそうなり、$\alpha$ は $k(\xi)$ の元であることが分かります。すなわち $\alpha$ は $\xi$ の有理式(実は多項式)で表されます。それを $\theta_0$ とします。
$$\alpha = \theta_0(\xi)$$ $f(Y)$ と $F(\xi,Y)$ の最大公約元は、ユークリッド互除法で求めることができます。その時、$\xi$ の最小多項式が必要になりますが、それは $g(X)$ です。
$$\xi_1 = \varphi(\alpha', \alpha_1', \cdots, \alpha'_{n-1})$$ においても、$f(Y)$ と $F(\xi_1,Y)$ の共通因子は $Y-\alpha'$ だけです。 $\xi_1$ の最小多項式も $g(X)$ ですから、まったく同じ形の $\xi_1$ の有理式で表されます。 $$\alpha' = \theta_0(\xi_1)$$ 同様に、$\varphi$ の2番目の引数を固定したものから $\theta_1$ が、3番目の引数を固定したものから $\theta_2$ が、……、と求められます。

$\varphi$ は、$\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の順列を数 $\xi, \xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ に対応させる関数とみなせますが、 $\theta_i$ は逆に $\xi, \xi_1, \cdots, \xi_{m-1}$ から、それ自身を定義した順列の $i+1$ 番目の値を返す関数になっています。


原方程式(ガロア第1論文では「与えられた方程式」)、正確には原多項式というべきかもしれませんが、 $$f(X) = X^n + a_1 X^{n-1} + \cdots\cdots + a_n$$ において、解と係数の関係は、4次の場合で、 \begin{eqnarray} -a_1 &=& \alpha + \alpha_1 + \alpha_2 + \alpha_3 \\ a_2 &=& \alpha\alpha_1 + \alpha\alpha_2 + \alpha\alpha_3 + \alpha_1\alpha_2 + \alpha_1\alpha_3 + \alpha_2\alpha_3\\ -a_3 &=& \alpha\alpha_1\alpha_2 + \alpha\alpha_1\alpha_3 + \alpha\alpha_2\alpha_3 +\alpha_1\alpha_2\alpha_3 \\ a_4 &=& \alpha\alpha_1\alpha_2\alpha_3 \end{eqnarray} となりますが、$\alpha_1,\alpha_2,\alpha_3$ の基本多項式は $\alpha$ の多項式で表すことが出来ます。 \begin{eqnarray} -a_1 - \alpha &=& \alpha_1 + \alpha_2 + \alpha_3 \\ a_2 + a_1\alpha + \alpha^2 &=& \alpha_1\alpha_2 + \alpha_1\alpha_3 + \alpha_2\alpha_3\\ -a_3 - a_2\alpha - a_1\alpha^2 - \alpha^3&=& \alpha_1\alpha_2\alpha_3 \end{eqnarray}
この証明は手法としても面白いし、ガロア理論の予行演習としての意味もありそうです。ガロア第1論文は、ガロア分解式(ガロアは補助方程式とよんでいたそうです)の研究論文ともいえるので、こっちの証明のほうが、論文としてビシッと筋が通った感じすると思います。
ラグランジュとの数学観の相違から、ラングランジュの亜流であることを拒んだ、というのは考えすぎでは? という気がします。
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2017-08-27

$f(X)$ を体$k$ 上の重根をもたない $n$ 次の多項式とし(既約とは仮定してません)、その根を $ \alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ とする。 $$\xi = c\alpha + c_1\alpha_1 + \cdots + c_{n-1}\alpha_{n-1}$$ が、 $\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の任意の置換によってすべて異なる値になるように有理数 $c, c_1, \cdots, c_{n-1}$ を選ぶことができる。
$$\alpha = \theta_0(\xi), \quad \alpha_1 = \theta_1(\xi), \quad \cdots\cdots, \quad \alpha_{n-1} = \theta_{n-1}(\xi)$$ となる、 $\xi$ の $k$ 上の有理式(実は多項式) $\theta_0, \theta_1, \cdots, \theta_{n-1}$ が存在する。

『ガロアを読む』では、はっきり定義されてませんが、次のように $\varphi$ が定義されていると思ってもいいようです。 $$\xi = c\alpha + c_1\alpha_1 + \cdots + c_{n-1}\alpha_{n-1} = \varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$$ $\theta_0, \theta_1, \cdots, \theta_{n-1}$ の存在は、『ガロアを読む』では、ラングランジュの補間式を使う方法で証明されています。

$(\alpha', \alpha_1', \cdots, \alpha'_{n-1}), \ \ (\alpha'', \alpha_1'', \cdots, \alpha''_{n-1}), \ \ \cdots,\ \ (\alpha^{(n!-1)}, \alpha_1^{(n!-1)}, \ \cdots,\ \ \alpha^{(n!-1)}_{n-1})$ を
$(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$ の、どの2つも異なる順列とします。 \begin{eqnarray} \xi &=& \varphi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})\\ \xi_1 &=& \varphi(\alpha', \alpha_1', \cdots, \alpha'_{n-1})\\ \xi_2 &=& \varphi(\alpha'', \alpha_1'', \cdots, \alpha''_{n-1})\\ &\vdots&\\ \xi_{n!-1} &=& \varphi(\alpha^{(n!-1)}, \alpha_1^{(n!-1)}, \cdots, \alpha^{(n!-1)}_{n-1})\\ \end{eqnarray} として、xy座標上(x, y は複素数であったりしますが)の $n!$ 個の点、$(\xi,\alpha),(\xi_1,\alpha'),(\xi_2,\alpha''), \cdots, (\xi_{n!-1},\alpha^{(n!-1)})$ を通る多項式を求めると、対称性から体$k$ 上の多項式であり、$\theta_0$ になっています。これと本質的には同じ方法による証明が『ガロアを読む』に書かれています。
同様に、$(\xi,\alpha_1),(\xi_1,\alpha_1'),(\xi_2,\alpha_1''), \cdots, (\xi_{n!-1},\alpha^{(n!-1)}_1)$ の $n!$ 個の点を通る多項式といて $\theta_1$ が求められます。$\theta_2,\cdots,\theta_{n-1}$ も同様です。
\begin{array}{cccc} \alpha = \theta_0(\xi),& \alpha_1 = \theta_1(\xi),& \cdots\cdots,& \alpha_{n-1} = \theta_{n-1}(\xi)\\ \alpha' = \theta_0(\xi_1),& \alpha_1' = \theta_1(\xi_1),& \cdots\cdots,& \alpha'_{n-1} = \theta_{n-1}(\xi_1)\\ \alpha'' = \theta_0(\xi_2),& \alpha_1'' = \theta_1(\xi_2),& \cdots\cdots,& \alpha''_{n-1} = \theta_{n-1}(\xi_2)\\ \vdots & \vdots & \vdots & \vdots\\ \alpha^{(n!-1)} = \theta_0(\xi_{n!-1}),& \alpha_1^{(n!-1)} = \theta_1(\xi_{n!-1}),& \cdots\cdots,& \alpha^{(n!-1)}_{n-1} = \theta_{n-1}(\xi_{n!-1}) \end{array} が、成立しているこになります。
$$k(\xi) \subseteq k(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$$ は自明ですが、$\theta_0, \theta_1, \cdots, \theta_{n-1}$ の存在より $$k(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) \subseteq k(\xi)$$ であり、 $$k(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = k(\xi)$$ が示されます。$k(\xi_1), k(\xi_2), \cdots, k(\xi_{n!-1})$ も同様ですから、 $$k(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = k(\xi) = k(\xi_1) = k(\xi_2) = \cdots =k(\xi_{n!-1})$$ となることが分かります。
ところが『ガロアを読む』では、 $k(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}) = k(\xi_1)$ などを示すのに、議論を必要としています。 $\xi$ の最小多項式の共役根とか、次数がどうの、といった議論です。 $\theta_0, \theta_1, \cdots, \theta_{n-1}$ の存在証明に使ったラングランジュの補間式を調べればいいだけなのですが。
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2017-08-19

『ガロアを読む』112, 113ページ
 順列・置換  置換とはある順列(permutation)から他の順列に移ることとし,順列を配列として,作用としての置換と区別している.しかしこの区別は論文の中できっちりとは守られていない.
  群の定義はない.
しかし,「いくつかの置換からなる群を作ろうと思うとき(原文では『置換を集め(grouper)ようとするとき』),それらの置換はすべて同一の順列より生じたものとしよう」とあり,
われわれが考える群では文字の最初の配置に何ら影響しない問題をつねに扱うので,最初どのような順列から出発しても同じ置換が得られるだろう.
 それゆえ置換 $S,T$ が同じ群にあれば置換 $ST$ も確かにこの群になければならない.
この文から見ると,ガロアにあっては,群とは,現在のように
    $S,T$ ならば $ST \in G$
    ($G$ は対称群 $S_n$ の有限部分群だから,これで十分)
ではなく,有限個の置換によって生成されたものと見ていたのではないか.

ガロアは、群という言葉を、現在の集合とほぼ同じような意味で使っていることがわかります。
それに、有限の置換群なのだから、「有限個の置換によって生成され」るのは当然で、倉田先生の意見はよくわかりません。以下のように解釈するのが妥当ではないでしょうか。

まず順列の空でない集合がつくられます。 $$\{A_1, A_2, \cdots, A_n\}$$ この集合から、$A_1$ から出発する置換の集合が作られます。 $$\left\{\binom{A_1}{A_1},\ \binom{A_1}{A_2},\ \cdots, \ \binom{A_1}{A_n} \right\}$$ $A_2$ から出発する置換の集合も作ることができます。 $$\left\{\binom{A_2}{A_1},\ \binom{A_2}{A_2},\ \cdots, \ \binom{A_2}{A_n} \right\}$$ この2つの置換の集合は、置換の集合として同じものになる、なぜなら、「われわれが考える群では文字の最初の配置に何ら影響しない問題をつねに扱う」からであって、そのように順列の集合がつくられる、と主張しています。 $$\left\{\binom{A_i}{A_1},\ \binom{A_i}{A_2},\ \cdots, \ \binom{A_i}{A_n} \right\}$$ において、$i$ を $1, \cdots, n$ の中から任意に選んでも、置換の集合としては同じになるということです。 言い換えると、任意の $i,j \in \{1,\cdots,n\}$ に対して、 $$\binom{A_1}{A_i} = \binom{A_j}{A_k}$$ となる $k\in \{1,\cdots,n\}$ が存在する、ということです。「最初どのような順列から出発しても同じ置換が得られる」とはこのことだと思います。 $$\binom{A_1}{A_3}\binom{A_1}{A_2}$$ という合成を考えます(右側の置換から先に実行するものとします)。 $$\binom{A_1}{A_3} = \binom{A_2}{A_i}$$ となる $i$ があるので、 $$\binom{A_1}{A_3}\binom{A_1}{A_2} = \binom{A_2}{A_i}\binom{A_1}{A_2} = \binom{A_1}{A_i}$$ となり、置換の合成に閉じていることが容易にわかります。単位元、逆元、結合法則、も容易に確認出来て、群の公理を満たすことが分かります。第1論文でガロアが「順列の群」とよんでいるのは、こうした性質を持つ順列の集合のようです。

さすが群論の祖とされる天才数学者です。置換群というものの本質的な性質を、的確に簡潔にとらえています。こういうふうに置換群を教えてもらえれば、私もずいぶん理解しやすかったとだろうと思います。

実際、この考え方によって、ガロア群が群であることの証明が容易になります。
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2017-08-10

倉田先生の『ガロアを読む』で、まず不可解に思ったのは以下の部分。

『ガロアを読む』45ページ
3. 式を不変にする部分群
 $\varphi = \varphi(X_1, \cdots, X_n)$ を $X_1, \cdots, X_n$ に関する体$k$上の有理式とする. $$\sigma\varphi = \varphi$$ となる,すなわち $\varphi$ を不変にする $\sigma \in S_n$ の全体 $H$ は,明らかに $S_n$ の部分群になる.

『ガロアを読む』47ページ
5. 量を不変にする部分群
相違なる根 $\alpha_1, \cdots, \alpha_n$ の $k$ 上の有理量 $\varphi(\alpha_1, \cdots, \alpha_n)$ とそれを不変にする $S_n$ の部分群 $H'$ の関係は 3. とまったく同様である.

$X_1, \cdots, X_n$ は文字。$\alpha_1, \cdots, \alpha_n$ は体$k$ 上の $n$次多項式の根で、重根はないもとしてます。$S_n$ は $n$次の対称群と42ページに書いてあります。量というのは値のことだと思われます。
つまり、$\varphi(\alpha_1, \cdots, \alpha_n)$ の値を変えない $\alpha_1, \cdots, \alpha_n$ の置換のすべてを集めたものが群になると主張していると読み取れます。証明は書いてません。それで証明を考えてみましたが、さっぱり分からない。ですが、どうやら一般的には群にならないことに気が付きました。

私が間違えているのか?それとも倉田先生が間違えているのか? いずれにしても、この部分は以降のガロア第1論文を読むには、たいして影響はないようです。 5. では、「ガロア群の部分群 $H'$ の関係は、」と直して読めば問題ありませんし。

追記 以前に見つけた反例があったので、書きます。

方程式 $x^4-10x^2+1=0$ の根は、
\[ \alpha_1 = \sqrt{2} + \sqrt{3},\quad \alpha_2 = \sqrt{2} - \sqrt{3},\quad \alpha_3 = -\sqrt{2} + \sqrt{3},\quad \alpha_4 = -\sqrt{2} - \sqrt{3} \]の4つです。 $\varphi = (\alpha_1 - \alpha_2)(\alpha_3 - \alpha_4)^2$ とします。 $\alpha$ の添え字の置換を2つ定義します。 \[\delta =\left( \begin{array}{cccc} 1 & 2 & 3 & 4\\ 3 & 4 & 1 & 2 \end{array} \right) \quad \tau =\left( \begin{array}{cccc} 1 & 2 & 3 & 4\\ 1 & 2 & 4 & 3 \end{array} \right) \]ただし、$\tau$ は自己同型になってないです。 \[(\alpha_1 - \alpha_2)(\alpha_3 - \alpha_4)^2 = 2\sqrt{3} \cdot (2\sqrt{3})^2 = 24\sqrt{3} \] \[\delta((\alpha_1 - \alpha_2)(\alpha_3 - \alpha_4)^2) = (\alpha_3 - \alpha_4)(\alpha_1 - \alpha_2)^2 = 2\sqrt{3} \cdot (2\sqrt{3})^2 = 24\sqrt{3} \] \[\tau((\alpha_1 - \alpha_2)(\alpha_3 - \alpha_4)^2) = (\alpha_1 - \alpha_2)(\alpha_4 - \alpha_3)^2 = 2\sqrt{3} \cdot (-2\sqrt{3})^2 = 24\sqrt{3} \] \[\tau\delta((\alpha_1 - \alpha_2)(\alpha_3 - \alpha_4)^2) = (\alpha_4 - \alpha_3)(\alpha_1 - \alpha_2)^2 = -2\sqrt{3} \cdot (2\sqrt{3})^2 = -24\sqrt{3} \] $\delta$ と $\tau$ は $(\alpha_1 - \alpha_2)(\alpha_3 - \alpha_4)^2$ の値を変えませんが、その合成 $\tau\delta$ は値を変えてしまいます。


しかし、この問題をひきずっています。

『ガロアを読む』49ページ
 命題1(ラグランジュの定理)――基本補題II 体 $k$ 上の $n$ ($\ge 1$) 次の多項式の根 $\alpha_1, \cdots, \alpha_n$ は重根をもたないとする. $\alpha_1, \cdots, \alpha_n$ の $k$ 上の有理量 $$\beta = \psi(\alpha_1, \cdots, \alpha_n), \quad \gamma = \varphi(\alpha_1, \cdots, \alpha_n)$$ において,$\beta$ を不変にするすべての $(\alpha_1, \cdots, \alpha_n)$ の置換によって $\gamma$ が不変ならば, $\gamma$ は $\beta$ の $k$ 上の有理式で表される.
 [証明] $\beta$ を不変にする $S_n$ の部分群を $H$ とし, $$S_n = H + \delta_1 H + \cdots + \delta_{k-1} H$$ とする.

証明は次のページに続いています。おそらく、ラグランジュはこの定理を $\alpha_1, \cdots, \alpha_n$ 不定元とする、有理関数体の場合に証明したのではないでしょうか。 $S_n$ をガロア群におきかえれば正しくなり、147ページにあります。

『ガロアを読む』147ページ
 命題2(基本補題II の類似) $f$ の根の $k$ 上の有理式 $\psi$ を不変にするガロア群の部分群を $H$ とする.$\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1}$ の $k$ 上の有理式 $$\chi = \chi(\alpha, \alpha_1, \cdots, \alpha_{n-1})$$ が $H$ の置換によって不変ならば,$\chi$ は $\psi$ の $k$ 上の有理式で表される.すなわち $\chi \in k(\psi)$ .

命題1(ラグランジュの定理)を、代数体の場合にそのまま使うのは無理があります。しかし、 $\beta = \psi(\alpha_1, \cdots, \alpha_n)$ が対称群 $S_n$ のすべての置換で変化する場合は使えます。この場合が、まず必要になるので、この場合に限定した形で使うべきです。

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